川田龍平政策ユース・ブログ

Wednesday, April 29, 2009

川田龍平政策ユース中間報告

 「川田龍平政策ユース中間報告」をPDFでダウンロードできるようにしました。

Friday, June 20, 2008

第一回川田龍平政策ユース・ミーティング報告

報告: 政策ユース・ファシリテーター 春日匠

 残念なことに多くの場合、一般の人にとって、政治はせいぜい選挙の時に(誰に投票するか選ぶさいに)関わるものに過ぎません。しかし、問題もそれに対する人々の回答も多様化し、少数の政党が掲げる政策だけでは人々を満足させることができなくなってきています。これは世界の多くの国で共通する傾向とみなされています。そうした中、「参加型民主制」の必要性が強調されるようになってきました。
 「参加型民主制」と「代議制(間接)民主制」は必ずしも対立するものではありません。人々の「参加と討議」(Deliberation / 熟議)を経て、より洗練された議論を議会の場に返していくことで、より多くの人の利害と関心を反映した議論が可能になるはずです。

 そういった「参加型民主制」のための試みとして、川田龍平参議院議員の政策をサポートする「川田龍平・政策ユース」が発足しました。
 公募に応じて論文を提出し、13人の政策ユース・メンバーが誕生しました。
 すでにそれぞれの現場で社会運動やNGO活動に関わっている人から、学生まで、バックグラウンドは様々です。

 これから一年間の間、議員の参加の下、原則として月一回のミーティングが開かれます。
 各メンバーはそれぞれの関心事項についてのレポートを持ち寄り、発表します。
 発表には議員と政策スタッフがコメントし、また政策ユース・メンバー相互がコメントしあうことによって、より政策立案のためのリアリティと、多様な視点を反映したものになっていきます。
 一年後には、これらのレポートがまとめられ、川田龍平政策ユースとしての政策提言集が発表されることになると思います。

 こういったことをやる意味はいくつかあります。
 まず、議員にとっては、より幅広く生活者の視点を政策に反映できる可能性が広がることになります。
 個別のレポートが必ずしも国会議員としての政策に直結するとは限りませんが、その場合でも議員の政策に期待する人々が議員と異なる論点を持っており、視点は多様であるということが明確になるだけでも意義のあることでしょう。
 (もちろん、間接民主制においては、最終決断は常に議員の責任において行われるべきですが、それは議員が様々な人の助言を聞かないという意味ではないわけです)

 また、参加する政策ユース・メンバーにとっては、どのような議論が国政の現場で説得力を持つのかということを検証するチャンスになります。
 政策ユース・メンバーが将来政治家になるのか、NGOで働くのか、あるいはジャーナリストになるのか、それともひとりの地域住民として政治に関わっていくかはわかりませんが、「参加型民主制」が発達していく現代社会において、政策ユースでの経験が生かされる現場は今後ますます増えていくと思っています。


 第一回は、自己紹介を兼ねて「政策ゲーム」を試してみました。
 京都大学のグループが開発した「防災ゲーム クロスロード」というゲームを改変して作ってみました。
 クロスロードでは、これまでの防災の経験からあらかじめいくつかの問題が設定されていますが、政策ゲームでは問題もプレイヤーが考えるところが違います。
 また、プレイヤーは座布団を獲得することを目指します(「笑点」から?)が、これのポイント・システムも少し改変してあります。
 今回のルールは以下のようなものです。


ステップ1)
 順番に「政策」を言っていきます。
 例)労働者の平均休日数を欧米並みにします
   10年以内に、風力発電など自然エネルギーの比率を全発電量の40パーセント以上にすることを目指します。

ステップ2)
 ほかの人は、政策に賛成なら「Yes」の札を、反対なら「No」の札を、ほかの人に見せないようにテーブルの上に出します。
 全員が出し終わったら、イエス・ノー・カードを一斉に表にして数を比べます。
 その後、それぞれイエス・ノーの理由を説明していきます。

ステップ3)
▼多かった方のカードを出したプレイヤー全員が青座布団カードを一枚貰えます(全員が同じカードだった場合は、全員に青座布団カードを一枚くばります)。

▼ただし、一人を除いて全員同じカードだった場合にのみ、違うカードを出した一人のみが金座布団を一枚、貰えます(他の人は座布団をもらえません)。

▼また、Yes/Noがちょうど同数(回答者が奇数の場合は一票差)だった場合は、プレイヤー全員が座布団を貰えず、出題者が金座布団を獲得します。

ステップ4)
 出題者が一巡した後、座布団の数を比べます。
 青座布団を一番多く獲得した人が、ベスト・リーダーシップ賞を、最も金座布団を多く獲得した人がベスト・ディベーター賞を与えられます。


 青座布団は、より一般的、常識的な見解を表明した「多数派」に与えられます。
 また、金座布団はあえて火中の栗を拾うような、論争的な見解にも発言のインセンティヴを与えるために与えられるものです。
 もちろん、金座布団ねらいで自分の信じていないような荒唐無稽な議論を持ち出してもかまいませんが、それなりに筋の通った説明が準備されていなければいけません。
 ここまではクロスロードのルールと一緒ですが、せっかく問題もプレイヤーが考えるというルールに変更したので、その出題にも一定のポイントを割り振りました。
 つまり、議論が真っ二つに割れるような政策を提示した人にも金座布団が与えられると言うことです。
 これにより、討論の場により多様な見方を提示することに貢献した人に金座布団が与えられる、という原則ができます。

 欧米に行くと、議論の場で一同の合意が(やや拙速に)できあがろうとしたときに、誰かが「敢えて反論を述べる」といったことがあります。
 こういった、論点を検証するための反論は、デビルス・アドヴォケート(悪魔の代弁者)と呼ばれています。
 ディベートでは、賛否のどちらを主張するかを本人の意志とは無関係に決めることがあります。
 これは表面的には「自分の信念は関係なく、相手を説得する技術を学ぶ」ためでありますが、真に重要なのは、自分の意見と反対の意見について熟考し、自分の意見の利点と弱点についてより多角的な立場から理解し、主張する能力を学ぶためでもあります。
 西洋哲学の伝統では、前者のような立場をソフィスト的と呼び、後者をソクラテス的なものであると考え、後者をより重視します。

 日本社会では、合意が形成された後に敢えて(空気を読まないで)意見を言うことがためらわれる雰囲気になることが少なくありませんが、今回はゲームということで、比較的気楽に「金座布団ねらい」のデビルス・アドヴォケートをやってみることができるようになっています。
 OECDが行った学習到達度調査(PISA)でも、日本の子どもたちは通称「落書き問題」に代表されるような、相手の論点を組み込みながら自分の論点を補強すると言った作業が苦手だという指摘がありましたが、こうしたゲームを通して、そういった方法を学ぶことができます。
 比較的簡単なルールですので、学校など多くの場所で試していただくことができると思います。
 ※ゲームのためのセットは自分で作ってもたいした手間ではありませんが、防災ゲーム・クロスロードのセットを買うと便利かもしれません。京大生協のサイトから通販できます
  
 

 当日は、以下のような「政策」が提出されました。

・トリインフルエンザワクチンを保健適用にする。
・衆議院、参議院ともに比例代表一本にする。
・企業とのトラブルを解決するための公的オンブズマン制度を設ける。
・自衛隊解体。
・学校の週6日5日隔週制を復活させる。
・六ヶ所村の核燃料サイクル施設を停止させる。
・地方空港設置に国が助成するのに反対。
・高校生未満は携帯を持たせない.
・ナンバーの奇数偶数によって車を使わせない。
・食糧自給率を85パーセントにする。
・ワークシェアリングを法的に定める。

 政策ユースメンバーは川田龍平議員の政策を「基本的なラインで支持する」という条件で集まっていただいていますが、満場一致は一度もなく、「ひとりだけの賛成/反対」ということで金座布団を獲得したケースも一件だけでした。
 逆に、賛成、反対が真っ二つに割れたケースも2件ありました。
 また、賛成・反対それぞれの理由も、相互に異なるものが多く、参加者は意見の多様性を実感できたのではないかと思います。

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